ブログで読む日韓文化

25年日本に住んでいる韓国人から見た日本と韓国の色々な文化の違いを楽しく紹介します。

🥃 日本のウイスキー文化と日韓の飲酒スタイル比較エッセイ

 

 

1. ジャパニーズウイスキーの歴史:日本酒の国が蒸留酒を生んだ理由

 

日本のウイスキーは、単なる海外トレンドの模倣ではありません。その背後には、明治時代の「西洋化」を目指した国家的な流れと、情熱を持った個人の努力がありました。

📜 歴史のワンシーン 1920年代初頭、後に「日本ウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝スコットランドへ渡り、現地で本格的なウイスキー製造技術を学びます。 1923年、サントリー創業者・鳥井信治郎が竹鶴と共に、京都郊外に日本初のウイスキー蒸留所「山崎蒸溜所」を設立。 その後、竹鶴は北海道・余市に自身の蒸留所を設立し、「ニッカウヰスキー」が誕生しました。 1980〜90年代には国際大会で数々の賞を受賞し、「世界五大ウイスキー」の一角として確固たる地位を築いています。

 

項      目 内             容
ウイスキーの始まり 1920年代(山崎蒸溜所の設立)
主なブランド 山崎、ニッカ、響、イチローモルト
特徴 スコッチ式+日本特有の繊細な職人技
社会的意義 高度経済成長期の「成功の象徴」、現在は趣味・嗜好品
 

🔍 ジャパニーズウイスキーは「日本人の美意識と丁寧さ」が詰まった世界的ブランドへと成長し、今では日本酒よりも高級な場で選ばれることが増えています。繊細な味わいは、食事とのペアリングを重視する日本の食文化にも深く根付いていますよね。


 

2. 「とりあえずビール」と「とりあえず乾杯」:日韓の乾杯スタイル

 

日本と韓国では、飲み会の冒頭でまず一杯という文化があります。この「最初の乾杯」に込められた意味合いにも、それぞれの国民性が表れているようです。

項目 🇯🇵 日本「とりあえずビール(とりビー)」 🇰🇷 韓国「とりあえず乾杯(イルタン コンベ)」
意味 「とりあえずビール」=まずビールで乾杯 「まず乾杯」=まず乾杯
目的 メインの料理前に場を温めるための一杯 場を温め、一体感を高めるため
飲み方 最初はビール、その後に日本酒・ハイボールなどへ ビールまたは焼酎で乾杯、以降は自由に種類の切り替え
その後の傾向 2杯目以降でお酒の種類を変える人が多い 焼酎やウイスキーなどに移行する傾向あり
文化的特徴 同調・アイスブレイクの役割 食事と共に楽しむ場作りの一環、仲間意識の表現

🍺 「とりあえずビール文化」は、「今日何を飲むかはともかく、まずはこれで始めよう」という無言の合意であり、場の空気を和ませる日本人特有の「おもてなし」とも言えるでしょう。

🍻 韓国でも「とりあえず乾杯!(イルタン コンベ!)」というフレーズで、飲み会がスタートします。こちらは「さあ、飲み始めよう!」という勢いと、皆で同じスタートを切る一体感が強く感じられます。


 

3. 「駆け付け三杯」と「後来者三杯」:遅れて来た人は飲まされる?

 

面白いことに、遅れて参加した人に「とりあえず飲んで!」と勧める文化は日韓共通です。しかし、その背景にある心理には少し違いが見られます。

項目 🇯🇵 日本「駆け付け三杯(かけつけさんばい)」 🇰🇷 韓国「後来者三杯(フレジャ ソクチャン)」
表現 駆け付け三杯 後来者三杯
意味 遅れて来た分、早く雰囲気に馴染むための儀式 遅刻の「罰」?あるいは歓迎の証としての飲酒
社会的役割 集団のリズムに合わせる、遅れてきた人への気遣い メンバーとの距離を縮める、盛り上げ役としての期待

😅 時にはプレッシャーにもなりますが、どちらの国でも「飲み会=共同体に溶け込む場」という共通認識が垣間見えますね。韓国の場合は、よりダイレクトに「遅刻したから飲め!」というニュアンスが強いですが、それは同時に「早く私たちの中に入って楽しもう!」という歓迎の気持ちの表れでもあります。


 

4. おつまみ文化と飲酒スタイルの違い

 

お酒の飲み方だけでなく、おつまみ(韓国では「アンジュ」)の選び方にも、日韓それぞれの食文化と飲酒スタイルが色濃く反映されています。

項目 🇯🇵 日本 🇰🇷 韓国
代表的なつまみ 刺身、焼き魚、漬物、枝豆、唐揚げなど サムギョプサル、チゲ、チヂミ、鶏肉料理(チキン)など
飲食の関係 お酒が主、料理はペアリングとして楽しむ 料理が主役、お酒はその脇役
雰囲気 静かに、味わいながら、語り合う時間を重視 にぎやかに、テンポよく、会話と一体となった賑やかさ

日本の飲み会はどちらかといえば「お酒をじっくり味わいながら、静かに語り合う場」。繊細な日本酒やウイスキーに合う、素材の味を活かした料理が選ばれることが多いです。 一方、韓国の飲み会は「熱気あふれる社交場」と言えるでしょう。脂っこい肉料理や鍋物など、味が濃くボリュームのある料理を皆で囲み、賑やかに会話を楽しみながらお酒が進みます。


 

5. 現代の変化:健康と個人の嗜好へ

 

近年、日韓両国で飲酒文化に大きな変化が見られます。健康志向の高まりと個人の多様な嗜好が、新しい飲酒スタイルを生み出しています。

項目 🇯🇵 日本 🇰🇷 韓国
トレンド 低アルコール、ハイボール、ノンアル飲料の人気 フルーツ焼酎、ウイスキーハイボールの人気
健康意識 休肝日」を意識する人が増加、健康系RTD(Ready To Drink)も人気 「飲酒量」より「楽しく飲む」ことに焦点、中断酒・節酒アプリ利用も増加
個人化傾向 「一人飲み」文化の定着、個性的なバーも増加 一人飲み・一人飯専門店の増加、宅飲み需要も拡大

📈 両国とも、過度な飲酒よりも「自分のペースで楽しむ飲み方」へと移行しています。特に若年層の間では、無理に飲酒を強要する文化は薄れつつあり、アルコール度数の低いお酒やノンアルコール飲料の選択肢が増えているのも特徴です。SNSでの「今日の晩酌」投稿など、個人の嗜好を重視する傾向は今後も強まるでしょう。


 

✅ まとめ:酒は社会を映す鏡

 

項目 🇯🇵 日本 🇰🇷 韓国
主な酒類 日本酒、焼酎、ウイスキーハイボール 焼酎、ビール、ウイスキー、フルーツ焼酎
飲み始めの一杯 とりビー文化 とりあえず乾杯文化
遅刻者の扱い 駆け付け三杯 後来者三杯
雰囲気 落ち着いた個人ペース、語り合い重視 活気ある集団ペース、賑やかさ重視
最近の傾向 趣味化・健康志向 飲み会離れ・個人化傾向、多様な酒類の選択
 

🍶 最後にひとこと お酒は単なる飲み物ではなく、「社会と時代」を映す文化の一部です。 どんな酒を、誰と、どうやって飲むか―― それはもしかすると、「あなたがどんな共同体を望むか」という問いなのかもしれませんません。静かに杯を傾けながら自分を振り返る時間を過ごすこともできるでしょうし、友達と大声で笑い合いながら一日のストレスを発散することもできますよね。

あなたのグラスには、どんなストーリーが注がれていますか?そして、次にグラスを傾けるのは、どんな場面になるでしょうか? 🥂